アメリカ英語の 語境をまたぐフラップ T/D ɾ の発音
語内フラップ(R1)と同じですが、二つの語にまたがります。
語をまたぐフラップ T は、語内で起きるフラップ T と同じ音声変化が単語の境界を越えて発生する現象です。母音(R 音を含む)の直後にある /t/ や /d/ で終わる単語が、母音で始まる単語に続くとき、アメリカ人は休止を置かずに /t/ や /d/ を次の母音と連結(リンキング)させ、フラップ T として発音します。語内のフラップ T が弱勢音節(アクセントのない音節)の前にのみ起こるのとは異なり、語をまたぐ場合は続く単語のどこにアクセントがあるかに関わらず発生します(got it でも hot APples でもフラップ化します)。got it は god-it、put it は pud-it、what is は whad-iz のように変化します。not at all では、弱勢の at が曖昧母音に弱化しつつ、2つのフラップ T が連続して nah-duh-dall となります。実はこの音、日本語のラ行子音とほぼ同じ弾き音 [ɾ] です。複数の語をひとつの単語のように滑らかに響かせるこの動きは、教科書的な発音から抜け出し、より自然なアメリカ英語に近づくための最大の鍵と言えるでしょう。
実際のフレーズの中で起きる様子を見てみましょう。
このルールがいつ働くかをはっきり示す、3つのフレーズの例。
got it
got の末尾の /t/ が、got の /ɑ/ と it の /ɪ/ に挟まれています。語内のフラップ T と同じ規則が適用され、気流を止めずに舌先で歯茎(はぐき)を軽く弾くため、結果として柔らかい D のような音になり、god-it と発音されます。.
not at all
3つの単語の中でフラップ T が2回連続し、さらにアクセントのない at が曖昧母音へと弱化します。not の /t/ は at の曖昧母音へとフラップ化し、at の /t/ は all の /ɔ/ へとフラップ化します。多くの学習者が子音を重く切り離して発音しがちなところですが、実際には2回の軽い弾き音と弱化した中間母音によって、フレーズ全体が nah-duh-dall という途切れないひとつのまとまりとして発音されます。.
made it
/t/ の代わりに /d/ から始まるだけで、フラップの仕組みは同じです。カジュアルな会話では、made it と mate it の子音はまったく同じになり、どちらも素早く歯茎を弾く弾き音になります。訓練された耳なら a の母音の長さ(元が /d/ の場合の方が長くなります)にわずかな違いを聞き取るかもしれませんが、T と D そのものは完全に同化します。聞き手は文脈からどちらの単語かを判断しています。.
2つの単語がつながるところ。
このルールが単語の境界をまたいで働く、実際のフレーズ。
実際のアメリカ英語の会話で。
単語が T や D で終わり、次の単語が母音で始まるフレーズに耳を傾けてみてください。get out、shut up、what about、let it go、need a、made it、not at all — これらはすべてフラップ化します。深夜のトーク番組、ポッドキャストのインタビュー、シットコムのセリフ、レストランでの注文など、日常のあらゆる場面で耳にするはずです。got it の got の末尾をはっきりとした T として発音すると、そこにわずかな間が生まれ、聞き手には不自然でぎこちない印象を与えてしまいます。
T と D — どちらも素早い弾き音に
単語の境界で次の単語が母音で始まるとき、/t/ も /d/ も同じ軽い歯茎弾き音として発音されます。どちらかをクリックして、元の音の特徴を確認してください。
フラップ化が単語の境界を越える5つの文
すべての文で、母音で始まる単語の直前に T または D が置かれています。タップして子音がリズムの中に溶け込んでいくのを聞き、解説でその仕組みを確認してください。