アメリカ英語の H の脱落 h→∅ の発音
/h/ は完全に脱落し、直前の語が残りの母音に直接つながります(子音と母音のどちらの後でも同様です)
弱勢の短い代名詞や助動詞(he, him, her, his, have, has, had)の語頭にある /h/ は、自然な連続発話の中では完全に脱落します。Tell him は tell-im に、give her は give-er に、call his は call-iz に、did he は did-ee となります。発話の流れを一度区切ってゼロから /h/ の息を足そうとすると、余計な労力がかかり、滑らかなリンキングのリズムが途切れてしまいます。そのため、/h/ を脱落させることで、直前の音からそのまま次の母音へと滑らかにつなげることができるのです。この規則が適用されるのは機能語のみであり、house や happy のような内容語では決して起こりません。
実際のフレーズの中で起きる様子を見てみましょう。
このルールがいつ働くかをはっきり示す、3つのフレーズの例。
tell him
him の語頭の /h/ が脱落し、tell の語尾の /l/ がそのまま残された /ɪ/ とリンキングすることで、tell-im となります。これと同じ省力化は tell her(tell-er)、told him(told-im)、kill him(kill-im)などでも起こります。直前の語が母音で終わるか子音で終わるかにかかわらず、弱勢の代名詞が別の語のあとに続く状況であれば、どこでもこの規則が適用されます。.
give her
her の語頭の /h/ が脱落し、give の語尾の /v/ が /ɚ/ と連結して give-er になります。love her、save her、have her、save his などの発音に耳を傾けてみてください。H が脱落すれば、すべて同じ仕組みで音がつながります。.
did he
did he、could he、would he、should he といった疑問文でよく見られます。H が脱落すると、助動詞の語尾の子音が弾き音(フラップ T)になったり、残された /i/ とリンキングしたりして、did-ee、could-ee となります。.
実際のアメリカ英語の会話で。
この「Hの脱落」は、対象となる代名詞や助動詞が含まれる日常的な発話のほぼすべてで現れます。よくある例として、Tell him I'll be there、I gave her the keys、What has he done などが挙げられます。誰かが tell-im I'll be there や I gave-er the keys と言っているのを耳にしたら、まさにこの「発音されない H」が働いている証拠です。決してぞんざいな話し方ではなく、これがアメリカ英語の自然なリズムなのです。
この規則によって脱落する音
クリックして /h/ の音素を詳しく見てみましょう。どのように発音されるのか、そしてアメリカ英語ではどこで維持され、どこで脱落するのかを解説しています。
文中で /h/ が消える 8 つのフレーズ
それぞれの音声は、アメリカ人が実際に発音する通りの 2 語の組み合わせです。/h/ がリズムの中に消えていく様子を聴き取ってみてください。
/h/ が消滅する 5 つの文章
いずれも弱勢の位置に代名詞または助動詞が少なくとも1つ含まれています。直前の単語が、残された母音へとどのように直接リンキングするか耳を傾けてみましょう。